おしりあいになりたい。
ひでやんです。
先日読んだ、西加奈子さんの『炎上する君』
全8編からなる短編集なんですが
これがまた、めちゃくちゃ面白くて
「あなた」という二人称で物語が進む『太陽の上』
拾った携帯電話で、見知らぬ誰かとメールを続ける『空を待つ』
山崎ナオコーラが憎い!『甘い果実』
「足が炎上している男」を知っているか?『炎上する君』
自意識の始まる前と、終わった後の話『トロフィーワイフ』
こんなにも愛している、なのに憎くて仕方がない『私のお尻』
誰かじゃないあなたではなく、誰でもないあなたに会いに行く『舟の街』
地に足を付けて生きる為に必要なものは何?もしそれを手放したら?『ある風船の落下』
まるで「世にも奇妙な物語」の怖くないヤツみたいな
少しファンタジーじみた、詩集のような小説でもあります
ピース又吉さんによる文庫版解説にて
『女性性』や『存在意義』に対する疑念というものが、この作品共通のテーマだと書かれていましたが
全くもってその通りだと思います
『女性』ではなく、『女性性』
これは老若男女関わらず、誰しもに内包されているものだと思っています
己の存在意義
それに悩むことも、大抵の人間が経験する事でしょう
つまりこの小説は
あなた自身の物語であり
私自身の物語でもある
一編一編が短く(15分程で読める)非常に読みやすい
だからこそ、後味がシンプルに強く残る
久しぶりに、一生物にしたい小説に巡り会えました
ちなみに
お尻には僕も自信があります(当社比)。
今日の一曲
ランジェリーパブ/ケツメイシ
西加奈子さんはエッセイ集もオススメ。