小説『増山超能力師事務所』について。
ひでやんです。
今度は小説の話
『増山超能力師事務所』を読みました
著者は『ストロベリーナイト』で有名な誉田哲也さん(個人的には『武士道シリーズ』が大好き)
超能力が広く社会で認められ、日本初の超能力師団体『日本超能力師協会(日超協)』が正式に発足したのは13年前。
同時に資格試験と事業認定を開始した。
という舞台設定の中で
超能力を使った探偵仕事を生業とする『増山超能力師事務所』に所属する超能力師達が、様々な事件を解決していくミステリーです
かの誉田哲也ですから、ストーリーはもちろんのこと
この虚構世界にリアリティを持たせる、細かく、そしてクスッとさせるような設定と小ネタ描写が本当に上手で
―『超能力士』ではなく『超能力師』である理由が、前者だと『力士』になってしまうので、女性超能力師に配慮した結果、後者が選ばれた―
とか
―超能力師資格は一級と二級しかない為、二級ですら受からない者は『無能力者』と呼ばれる―
など、本当にありそうな設定が
どうしてもSFチックになりかねない題材を、親しみやすくしてくれている
そしてこの本の面白いところは
ズバリ、超能力バトルや超能力マンセーにならないところ
あくまで『超能力が広く認められた世界線』で繰り広げられる『人情派ミステリー』なのです
心を読んだり、テレパシーや念動力など、様々な超能力とそれらを操る人物が登場しますが
結局のところ、人と人とのトラブルを解決出来るのは、これまた人でしかない訳です
超能力でなくても、マイノリティであるが故に現代社会に息苦しさを感じている人はたくさんいる訳で
そういう人達が『全ては自分が悪いんだ』等と思わないよう、マイノリティの為の居場所があれば
そして、そこを足掛かりに社会と共生していければ
それこそが、望むべきよりよい社会の姿ではないでしょうか
というような事を、訴え掛けられているような小説です
最後に、個人的に気に入ったセリフを紹介します
『人の心ってのはな、読んだり覗いたりするもんじゃねえ……察するもんだ』
死ぬまでに、一度は言ってみたい(笑)。
今日の一曲
Natural Lips/岡崎体育
"ブス? 否、美人"
英語に聴こえるヤツ。